僕が被災地で出会った3人の起業家から学んだこと

 

先週末、東日本大震災の被災地である陸前高田に訪問してきました。

目的は、被災地の子供や働いている方、ご高齢の方問わず、英語を教えることです。マーサージャパンの代表、古森剛さん主催の「Komo’s 英語音読会」に定期的に参加させていただき、講師として活動しています。初めて足を踏み入れたのが今年の3月、次は6月、そして今回と、3回目になります。

「ボランティア」というと何かおしつけがましい気がしますが、僕は、助けるより、助けられること、学べることのほうが多いと感じているので、一つの「活動」として取り組んでいます。

震災初期、僕が持っていた「ボランティア」のイメージは、現地へ物資を運んだり、瓦礫を除去したりするものでした。もちろんすべて大切な活動ですが、時間が経過するに連れて必要な活動が変化してきます。

最初は物資など、必要最低限の生活環境を確保すること。それ以降は、生活する方々の生きがいを支援することになってきます。例えば、仮設住宅が確保され、ご飯も食べられるようになった。しかし、家族や友人が流され、孤独に苦しむ人達。中には、自殺する方もいらっしゃると聞きます。その時に必要なのが、新たなコミュニティを創ることです。

そこで、英語を教えることが役に立つ、というのが古森さんの発想です。

 

参加させて頂くにあたり、僕が毎回意識していることは下記3点です。

1.被災地の情景を見て、空気を感じる

2.被災地の方々とコミニュケーションを取る(英語を教えながら)

3.ゼロからコミュニティがスタートする過程を見守り、支援する

 

まずは、2012年の被災地の状況と経過をシェアします。

 

2012年3月

初めて訪問した気仙沼。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

住宅地が跡形もなく流され、残ったのは土台のみ。

 

同じく、陸前高田。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海から数キロ離れた消防署がこの状況です。

 

2012年6月

避難所となっており、多くの方が亡くなった体育館。

1年と3ヶ月経ってもこの状況でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

畑で野菜を育てることも始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しずつ、復興の色も見えてきたように感じたシーンでした。

 

2012年11月

農園もパワーアップ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
高田病院の方の支援もあり、楽しく農作業をされていました。

というのが毎回僕が観ている風景です。

 

こちらが英語教室『Komo’s 英語音読会』の風景です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在は訪問リハビリテーション事業のオフィスになっている場所をお借りして、月1回開催しています。

基本はマンツーマンでそれぞれの目標を支援していきます。例えば日常会話であったり、新聞の音読だったり、好きな洋楽の解説と音読など。小学生、中高生には学校のテキストを使った指導もしています。講師が皆本格派なため、非常に実践的な、使える英語の授業が行われてます。

『Komo’s 英語音読会』のメンバーは30名ほどなので、月1回交代で訪問しています。僕の場合は、3-4ヶ月に1回のペースで、伺って、その成長に驚いたりしています。

毎月誰かが来てくれる、ということがみんなの楽しみになってきてくれている、ことを行くたびに感じるようになりました。3ヶ月も経てば子供も一気に成長したり、小6が中1になったりするので、僕らも嬉しいです。

 

6月に訪問したときは畑ができ、そこでみなさんが楽しそうに農作業をしているのをみたり、11月は仮設住宅で文化祭が行われたりと、だんだんとコミュニティが生まれてくるのを感じています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロからコミュニティを生み出すのがどんなに大変か、そして、その場所を創ろうとしている人の存在の大きさに尊敬の念を抱いています。

 

この活動を通して僕が出会った3人の起業家が印象的だったので、紹介したいと思います。

 

1.ママの起業

この「Komo’s 英語音読会」は、被災者であるOさん(僕らはママと呼んでいます)の協力によって成り立っています。彼女が言うのは、「皆が集まれる場所をつくりたい」ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その中で、被災地復興支援のために社会貢献的観点で起業した方に土地を無償で提供し、現地で活動をサポートするという形で、3つの活動をスタートしています。

・薬局を開業

・訪問リハビリテーション事業を開始

・月1回、英語音読会のハブに

想いをもった起業家が、多くの支援者を集めて、事業を実現させる。その姿に感動しました。僕も、その一端を担えればと想い、定期的に活動を続けています。行くたびに、僕らに美味しいごはんを振る舞ってくれるのも楽しみの一つです。

 

2.佐藤たね屋さん

彼は、もともと種苗店を営んでいましたが、津波で店が流された後、ご自身でプレハブを立て、たねの販売事業を再開しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3月に初めてお会いしたときは、まだ話しぶりも暗かったのですが、この半年で圧倒的にオープンな方に成っていました。この英語音読会を通じて、被災地で起こったことを “The seed of hope in the Heart ” という冊子にまとめ、出版しています。

産経の記事:陸前高田の種苗店主「心に希望の種を」 英語で震災体験、冊子好評

事業も軌道にのりつつあり、今回購入した新車の軽トラを見せていただいたのに、復興の光を感じました。こちらの電子での流通、海外向け出版なども支援していきたいと思います。

 

3.マルトヨ食品の清水さん

気仙沼のサンマを初めとした、加工食品を販売する会社です。工場の再稼働を成し遂げ、先日東村山で物産展を行い見事完売したそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

facebookで積極的に情報発信をするなど、チャレンジ精神を感じます。

マルトヨ食品のFacebookページ

東京でビジネスをしている僕らからすると、全くなにも無いところから事業を立ち上げるという苦労は計り知れないものだと感じます。

 

 

今僕らは、必要のないものを作っちゃってないだろうか?

無駄にテレビを薄くしようとしてないだろうか?

ただの価格破壊をしていないだろうか?

そんなことを行くたびに考えさせられます。

 

必然性があるから事業をやる、創りたい世界があるから事業をやる、といういう存在でありたいと思わせてくれる、貴重な機会です。

次は来年の春に伺う予定です^^

 

古森さんの「はなそう基金」のブログはコチラ「Komo’s英語音読会@陸前高田(2012年11月)