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2枚目の名刺をもつということ。

 

 

このブログのタイトル、”Playful Worker”にもある通り、僕は「ワクワクする、遊びのような働き方」が実現する社会を目指しています。それは、自分の会社をつくることかもしれないし、複数の会社にジョインすることかもしれないし、この本のように本業をメインとし、「2枚目の名刺」で活動することかもしれません。

この度、テレビ業界の同期、TBSのケイジこと柳内啓司が本を出したので、読んでみました。

一言で言うと、新たな活動を始めるためのハードルを下げてくれる本 だと思います。

人生において、30歳近くなってくると、家庭や子供ができていたり、家のローンがあったり、これまで10年近く務めてきた会社から出られなくなったりと、活動をガラっと変えることは難しくなってくるんだと思います。

起業を煽る方もいらっしゃいますが、それだけがやり方ではありません。

人生一度きり、でも、イチかバチか、ではないんです。引用すると、

「本業という生活の基盤があるから、純粋に自分がやりたいことを始められます。」

「2枚目の名刺で得た人脈や経験が、本業のスキルアップにつながることもあります。」

この本は見開き1ページで一つのトピックを紹介する形式ですが、お気に入りは下記。

「心からやりたいことは何かを真剣に考えてみる。」

人は何にも縛られずに、自分のやりたいことを考えることが難しい。無意識のうちに、今置かれた環境や制約の中で、自分のやりたいことを見つけ出しているから。まず、縛られずに書き出すことが大事。例えば僕の場合は、キャッシュが5億円(=金銭的な自由)くらい手元にあっても、今の活動を続けるか?、という点を発想のベースにしています。

収入と、やりたいことが実現できている例は稀有だからこそ、2枚目の名刺が活躍する時代なんだと思います。

 

2枚目の名刺の課題

一方、比較的新しいスタイルには課題もつきものです。

・2枚目の名刺の活動は、いずれ1本に絞るべきか?

これは、どちらが正しいという解はありません。ザッカーバーグはハーバード在学中にFacebookを創って中退してます。GREEの田中さんは、楽天時代に個人でやっていたSNSにコミットするため会社化。一方、この本に出てくるiPadマジシャンの内田伸哉さんは、電通に居ることを存分に活かしてコピーライターとマジシャンとしての活動を両立し、「エンターテイメント」をキーワードにシナジーを出しています。

どっちもあり、という認識を持つことが大事だと思います。

・組織をかけもつ働き方は成立するのか?

この会社がメイン、こちらがサブ、という考え方ではなく、複数の会社から一定額の報酬をもらう活動方法もあります。この本では、シリコンバレーで年収300万円ずつ3社から貰って活動する、という事例が上げられています。これも、今後増えていくと思われます。(といっても全部がそうなるわけではありません)

・肩書きをどうするか?

会社を作れば代表取締役、そして社長。それは誰でも名乗れます。逆に、作らなくても自分で何かしらの肩書きをつけることは可能です。僕はHALOでは取締役やCOOの他、「コミュニケーションデザイナー」という肩書きをここ5年くらい使っていますが、実際に自分のプロフェッショナルを明確にする上で、「役職」とは別の「肩書き」が有効だな、と感じています。

実際、電通などでコミュニケーションデザイナーを名乗れるのはエースのみなので、さとなおさんに名刺をお渡しした時などは恐縮しまくってしまうのですが・・・ オフロードから突っ込む人としての、よいプレッシャーになってます。

 

というわけで、僕も2枚目の名刺による活動を始める予定です。例えるなら、バンド活動におけるソロ活動。ソロで得た物を、バンドにも還元する、そんなスタイルで動けたらよいな、と思ってます。

いずれにしろ、「起業だ!」なんて力を入れすぎずに、新しい活動を始める人が増えることで、世の中に”Playful Worker”が増えるといいな、と考えています。


※kindle版もあります。

 

選挙開票結果と若者の投票率について 〜池上彰さんを見ながら〜

 

選挙に行って来ました。自民圧勝でしたね。

昨日から今日はのTwitterやfacebook上は選挙の話題で持ち切り。あくまで1000-2000万人ほどの中、特に僕の友人やフォローしている人に限ってではあるが、政治への関心が高まっていると感じていました。当日は、投票所に行列ができているとところも多いと聞いていました。

しかし、蓋を開けてみると投票率は、今回は59%ほどと、前回を割ってしまった模様(NHKより)。誰が投票しても1票だとしても、周りで関心がある方の考えが深くなっているのは大きな意義があること。時間はかかるかも知れないけど、インターネット、モバイルを活用して、次以降の選挙で関心を高めることができればと考えている。

僕は学生時代より、政治には全くと言ってよいほど関心がなかった。昔のコトバで言うと、ノンポリで、音楽とか、映画とか、クリエイターで、政治や経済の真逆にいようと思っていた。日テレに入ってニュースの仕事をしていた時でさえも、ほとんど興味が持てなかった。なんか、固い部署だし、全員スーツだし、くらいに考えていた。

それが変わってきたのは、2年ほど前から。同期が2人、それぞれ熱海市議会議員、愛知県議会議員になったあたり。僕らでも積極的に表に立って、政治を動かすことができる、というのが身近になったから。

二人とは年何回か会って政治の話をするようになったし、むしろ熱海市議会議員のかまだんごとは毎週「ボケて」の打ち合わせをしながら生活保護の話になったり。まだ全然知識は足りないけど、ちょっとおもしろく感じれるようになってきた。

 

やっぱり、 若者が投票しないと変わらないって。

 

そこで、気になる投票率の推移だが、年齢が若いほど低い。そうなればなるほど、全年代の票が平等にカウントされる選挙では、候補者としては多くのターゲットに刺さる政策を押し出す傾向になる。

これは、我々20代、また自分たちの子供の世代以降にとって、圧倒的に住みにくい国が出来上がることを示している。

 

 

 

※出典:財団法人。明るい選挙推進協会

 

上記のグラフから読み取れることは、

・若年層になるほど投票率が圧倒的に低い。(前回ベースでは、60歳代は84%、逆に20代では49%)

・毎回の平均投票率は、全年代と、一定の年代で大きな差異はない

である。

そもそも、日本の人口構成は高齢者ほど多くなっていることを考慮すると、若者の意見が大きく反映されるようにするには、人口が少ない分、同じ投票率でも足りない。それ以上にならなきゃ。

池上彰さんがテレビ東京で好き放題やっていて非常に好感が持てますが、今年読んだ彼の本で政治への関心を具体的なレベルに高めることができたので、オススメです。

「池上彰の政治の学校」

投票率に関する部分の要点はこんな感じ。

【現状】投票しないやつが政治を悪くする

政治は、政治家ではなく、正しく投票してない国民がダメにした。デンマークは、近年投票率80%を切ったことがない。これを続けていくと、50年かけて正しい仕組みが出来上がる。

【改善策】国民が政治に関心をもつきっかけを創ることが大事

投票権を18歳からにしよう。例えば米国では、投票権が18歳からある。高校で模擬投票をやったりして、そのまま実践へ移ることができる。日本では、20歳からなので、その時点で引っ越して地元から離れていたり、関心が持ちづらい。

Teensopinionなんて10代は投票できないけど、意見を出していこう、なんて擬似選挙サイトも立ち上がっていて、意識のある層は自主的に動いている時代なので、ギャップを埋めたい。

 

新書でサクッと読めるので、小選挙区と、比例代表ってどう違うの?なんて人がいたらぜひ。

 

「ぐだぐだ言ってないでコードを書けよ、ハゲ」 @yusukebe 『Webサービスのつくり方』書評

 

今、「ボケて(bokete)」のスマホアプリ化プロジェクトを一緒にやっている、オモロキCTOのゆーすけべーが本を出しました!

『Webサービスのつくり方』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐだぐだ言ってないでコードを書けよ、ハゲ」

から始まるこの本は、非エンジニアの僕からすると非常にグサっとくるw

英語では “Shut the fuck up and write some code”

いくら良いアイデアだと言っていても、動くものを創らないと意味が無い。逆に、手を動かしてコードを書くと、一歩でも成功へのハードルに近づく、ということ。

 

そこで、3つくらい僕に刺さったポイントを上げてみます。

1.やっぱりコードを書くこと

一緒に仕事をしていていつも感銘を受けるのは、まず、機能を実装してから話をすること。「百聞は一見にしかず」とはよく言うけど、「百アイデアは一コードにしかず」と感じさせてくれます。

2.コミュニティへの貢献

彼はエンジニアコミュニティでも活躍しており、今年のYAPC::asia 2012年でもベストトーク賞を活躍したそう。多くの講演活動もそうだし、オープンソースを成り立たせるために彼が言うのは、例えばライブラリを創る側、利用する側のよいエコシステムを創りだすこと。コミュニティに貢献するために公開するのもそうですが、利用する側もバグがあったら作者に連絡したり、よりよい利用法を提案したりするべきであると。

プロデュース、マーケティング界隈のコミュニティでは、なかなかこのようなオープンな姿勢は取られていないですが、情報が許す限り、僕らの進化に貢献したいと思います。

3.エンジニアとしての企画や教育へのバランス感覚

本書では心構えから入り、下準備、企画、設計、開発、そして運用からプロモーションまでをフォローしています。企画・プロデュース、マーケティングや事業計画を本職としている僕からしても、エンジニア視点の彼のサービスをつくるプロセスは非常に参考になります。というか、自分がよっぽど自分の得意分野で突き抜けてないといけないな、と感じさせられるくらい。

彼は押し付けがましくないところもいい。例えばPHPとPerlの特徴を「プラモデルとレゴ」のようだと言った方がいるそうで、「あなた流」に合った言語を選べば良い、というバランス感覚を持った人です。

なんだか褒めてばっかりだけど、最近褒め合うのがブームなので勝手によしとさせていただきます。

 

オマケ

ちなみに、彼の「ぐだぐだ言ってないでコードを書けよ、ハゲ」」を最初に聞いたのは、とあるパネルディスカッションでご一緒させていただき、隣だったとき。やべえ、おれ仕事でコード書いたことないや・・・と正直焦った記憶があります。

その場面は、この動画の18:30あたりで生で聞くことが出来ます。Skype創業者のニクラスゼンストローム氏が来日したとき、母校の慶應大学で「起業家精神とビジネスの秘訣」というテーマで前座パネルディスカッションを行った時の動画です。ゆーすけべー、パンカクの柳澤さん、フオジンジャパンの三好さんと鶴さん、僕がしゃべってます。

Video streaming by Ustream

エンジニアの方も、そうじゃないけどWEBサービスに関わっている方もぜひ読んでみてくださいね。

目次です。

第1章 心構えと下準備

  • 「ぐだぐだ言ってないでコードを書けよ、ハゲ」
  • Mac一つあれば…
  • エディタという道具
  • なければつくる
  • 言語習得にまつわるエピソード
  • データ表現について分かった瞬間
  • 僕がPerlを使うことから見る言語の選択
  • ブログの効用
  • 勉強会に飛び込む
  • ライブラリという文化

第2章 企画

  • 実装までにつくる「企画」の全て
  • アイデアの発想法
  • そこに潜むリスク

第3章 設計

  • ユースケースを書こう
  • データベース設計
  • クールなURI?
  • Webサービスを動かすための要素

第4章 開発

  • 30分、JavaScriptでつくるWebサービスの動くモック
  • 月額980円のさくらVPSを個人用に使い倒す
  • Web APIで巨人の肩の上に立つ
  • いかにして大量のおっぱい画像をダウンロードするか
  • 全裸で学ぶMVC事始め
  • MVCのMについて
  • WAFあれこれ
  • テストを書こう
  • イカ娘でTwitter OAuth認証
  • CSS Frameworkを持つ

第5章 プロモーションと運用

  • Webサービス、最初の宣伝
  • 「普通の」サーバ構成
  • 運用してこそWebサービス
  • Webアプリのパフォーマンスアップ作戦
  • キャッシュ、キャッシュ、キャッシュ
  • サービスをスケールさせる時

『Webサービスのつくり方』

さて、僕もこの本に載っていたサンプルコードを元に、今からJavascriptを書いてみます!(Perlじゃなくてゴメンナサイ)

カツマー本『「有名人になる」ということ(@kazuyo_k)』が素敵な件

 

『断る力』以来、3年ぶりにカツマーこと、勝間和代さんの本『「有名人になる」ということ』を読みました。

僕の母も和代なので、どうもお母さんに見えてしょうがないのですが、中身は全く別物です。

思えば3年前はHALOを創ってまもなく、割とストイックにインプットを繰り返しては、活動をしていました。 僕自身、自転車通勤というのもあり、男性ながらカツマーに近い思想をもっていたのかもしれません。でも、やってみると疲れますし、嫁や周囲にもストレスを与えていたのでは、と反省しています。

5年くらい同じ業界の仕事をし、200冊くらい良い本を読むと、ひと通りのビジネススキルのベースとなるものが身につき、アウトプットも効率的に出せるようにはなりました。すると、自然と力が抜け、結果がでやすくなってきました。(もちろんまだまだですが、新卒から2年目くらいの時と比べると雲泥の差です)

僕自身、勝手に終わコンだと思っていた勝間さんですが、今回の赤裸々で正直な文体には非常に共感を持てました。これまでのただストイックに見える、常人には無理なやり方とは異なり、まるで成長の記録のようなストーリーを感じました。

 

まずは、本のまとめを。

カツマー的有名人とは

・人生の98%は運で決まり、その運とは人付き合いで決まる。

・有名になるためには「この人なら応援したい」「サポートしていきたい」と強く願って集まってもらえる

・テレビのギャラ=視聴率に反映されるか:文化人カテゴリだと、1番組5−20万円。タレントなら100万円くらいもある。

・自分が得た利益を、周りの人が楽しく仕事をできるように配分する

・批判を受けることは日常であり、余程のことがないかぎり「スルーする」ことが重要

 

上記は割と一般的な情報ですが、下記はこれまでの「戦略的な」カツマー本にはなかった記載ではないでしょうか。

 

新たなカツマー像

・確率的に高い勝算があるものにチャレンジしつづける。正しいことをしていれば、中長期的にはかならず結果が出る。

・自分が心から大好きなことを表現すると、結果は後からついてくる。

・成功と幸せの因果関係は、「成功→幸せ」ではなく「幸せ→成功」である。

 

この部分の、決してストイックにゴールを求めるのではなく、好きな事を、力を抜いてチャレンジし続ける、という方法論に共感しました。

では、彼女はどうやって「有名人」になっていったのでしょうか?

 

ミッションと、発揮すべき強み

勝間和代のミッションと達成の経緯

ミッションは「多様性を互いに認め合い、慈しみ合える社会の実現」

→「自分が自由であること、自分の学習意欲を満たすため」と考えていたら、自然と有名になっていった。

 

勝間和代の強み

・概念的なものを言語化する力。執筆、出演などに生きる

・ITを活用する力

・ファイナンスの知識、経験

・自転車、バイクなど学び、実践する力

・女性(美人過ぎない)

 

プロダクト=自分の強みを活かして提供する価値

なにか思いついたことを比喩にしたり、人がもやもや考えていること、なんとなく考えていることをフレームワークに落とす

→大前研一さんのようにフレームワークを使うが、より若い人に親しみやすく。

→神田昌典さんのように実践的だが、ITを全面に押し出す。

 

これを、ブログ→書籍→メディアへの取材記事→出演etc…という順に売りだしていく。

 

なるほど、「有名」の度合いは人それぞれありつつ、各人のブランディングに生かせそうです。でも、上っ面のブランディングと中身とのバランスは非常に大事。今、友人知人を含めたゆるめの5000人くらいの輪には非常に満足しています。でも、100万人、1000万人の前に出ることで力をもらえることもあるんだな。

 

押し付けじゃなくて、応援される自分であること。規模はどうであれそうでありたいと思います。