月別アーカイブ: 2014年1月

僕らは、日々のクリエイションで価値を生み出しているか?

先日、僕が大好きなブランドでデザイナーをしていた方とご飯をご一緒させていただきました。普段のインターネットにおけるモノづくりで、僕が忘れそうになっている点について、気づきを多く頂きました。

何点か紹介したいと思います。

消費されないこと

毎シーズン、ブランドが新しいコレクションを出すのは、ファッション業界の仕組みに回されているということ。だから、必ずしも毎年コレクションはやらない。理想は、いいものを、手入れしながら、ずっと使っていくこと。例えば、レザーのカバンを、おばあさんの代から母親、娘の代まで大切に、メンテナンスしながら使う。すると、作品としての味が増していく。使ったら価値が目減りするというファストファッションとは逆の考え方。

ファッションは、ビジネスとして成立してこそ

一方、ファッションはアートではないとも言う。生み出したプロダクトを、生活者が着ることによって表現が完成する。だから、売れなくては意味が無いし、続けるためにビジネスを成立させることが必要。ただ、価値のあるものは高い。それだけ素材や、縫製にもこだわっているからだ。もちろん事業規模次第であるが、尖ったものから裾野の広い顧客に手の届く商品までラインナップを揃えざるを得ない場合もある。

プリミティブな欲求を刺激する

衣食住、というけれど、食は圧倒的にファーストになってしまった。衣も、大量消費社会、そしてインターネットの普及によって、すごくイージーな体験になりつつある。本当にほしいものを足で探して、手に入らなくて、我慢して買うといった体験をすることが、価値になっていた時代。真剣に自分が着るものを選ぶことが、自分の価値を上げていく。

クリエイションはケンカ

創りたい世界観がれば、クリエイターとして主張をすべき。羊さんにはなれないはず。ただ、ケンカしてモノをつくるような体験は、日本の教育に存在しない。だから慣れないことも多いが、真剣にものを生み出すとはそういうことだ。

模倣されることは光栄である

同じようなコンセプト、デザインの商品やサービスが次々出るということは、価値が認められたということ。僕らは最先端を走り、これまでになかった価値を発信する。最初は生活者がついてくるかはわからない中で、チャレンジする。そこで、フォロワーによる模倣が起こり、サービスがコモディティ化していくが、それは自然の流れであり、受け入れるべきことである。大抵の場合、大きな利益を得るのは後発の大量生産をする企業だが、僕達クリエイターの使命は新たな価値を生み出し、それを生活者に提案していくことである。

仲間と共有すべきは価値観

一緒にモノをつくる人、工場を選ぶときの基準は3つ。

  • 服をつくる技術を持っていること
  • お互いがビジネスとして成り立つこと
  • 価値観が共有できること

とくに、最後が一番大事。単発の仕事に留まらない関係性をもったとき、創る喜びを共有できる。また、自分が何者か、先入観を持たれずに接することで、本当によい出会いにたどり着くことができるという。

おわりに

ファッションを通じて文化を創り、それが生活者に受け入れられるということ。結果的に、世界を少しずつ変えていくということ。日本で、イッセイミヤケや、ヨウジヤマモト、川久保玲など先人たちが成し遂げてきたことが、どれだけ価値のあることか、それは今僕がこれらのブランドに共感していることが示していると思います。

僕がやっているメディアづくりにも応用できることが沢山ありました。特に、仲間探しから始まり、ケンカしながらも作品を創ること。そして、しっかりとサスティナブルなビジネスにすること。スマートフォンのメディア事業の収益は主に広告だが、ただ、ヒマなユーザーを集めて、それをダイレクトマーケティングのクライアントに提供するのみでは、他のメディアとなんら生み出す価値は変わらない。だから、僕らはユーザーとともにサービスのブランドを高め、僕達しかできない、広告価値の高いプロダクトにしていく必要がある。結果的に、僕らは新しい挑戦ができるし、ユーザーによいサービスを提供し続けることができる。それと同時に、新たな作品を創り、ユーザーに提示していくことを、今年も続けていきます。
自分の仕事は価値を生み出しているか、そこにこだわりながら。
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焼き鳥とビールを片手に。

東京都が参考にすべきニューヨークの自転車事情

都知事選の告示がでました。今回の選挙に向けて、自転車ツーキニスト・イセオサム個人の活動として、「新都知事とつくろう、TOKYO自転車シティ〜2020年オリンピックまでに東京を自転車先進都市に!」というキャンペーンに賛同しています。

例えば、こんな街はいかがでしょうか?

ニューヨークのマンハッタン、快適な自転車インフラが整っている街です。

僕自身、ここ8年くらいほぼ毎日自転車で通勤したり、打ち合わせで都内を移動しながら、東京中を走ってきました。電車より早く、エコで、運動もできる。非常に理想的なスタイルだと考えています。

ただ、いざ自転車通勤をしてみると、大きく2つの課題を感じます。

1.車道走行が危険

まず毎日感じるのが、車道の走りにくさ。法律では、自転車は車道の左側を走行することになっていますが、実際走ってみると、幅不足から、ほぼ自動車と同様のレーンを走らざるを得ません。車のドライバーから見ても、自転車は危険に見えるでしょう。

2.駐輪場の不足

駅周辺では違法駐車の撤去を頻繁に行っていますが、その割に駐輪場のキャパシティが足りていません。しかも、ついガードレールに停めようものなら、街の景観を乱してしまいます。家から会社まで走って、駐車する。この2ステップだけなのに、両方難しい。この状況を改善したいと考えています。

同じ課題を持つロンドンでは、2008年の市長選で市の自転車環境の改善を求める4万人の市民が立候補者宛てに署名を行い、全ての主要候補者が公約として受け入れました。結果的に、2012年までの4年間で快適な自転車環境を整えることができたようです。

東京において、具体的にこの問題を解決する方法は、下記3点になります。

世界標準の自転車インフラとは – その1 車道上の自転車レーン

自転車が歩道を走るのは日本だけ。世界では車道を区分した自転車レーン整備が主流です。ニューヨークには1500km、ロンドンには900kmにおよぶレーン網がありますが、東京にはなんと9kmしかありません。

世界標準の自転車インフラとは – その2 分散設置された多様な駐輪スペース

駐輪場は十分あるのに、撤去が絶えない東京。その数、年間約65 万台。立地とニーズにミスマッチが。駅前だけでない分散型の駐輪スペース整備を。

世界標準の自転車インフラとは – その3 都心を網羅するシェアサイクル

パリのシェアサイクル「ヴェリブ」は300mおき約2000ヶ所のポートで全市をカバー。オリンピック期間中に急増する交通需要にも耐えうる、都心を網羅するシェアサイクルを。

自転車レーン、駐輪スペース、シェアサイクルの3つを整備することで、東京が素敵な都市になるはずです。

署名に賛同していただける方はこちらから署名、シェアをお願いいたします。(東京都民じゃなくても関心のある方はぜひ)

「新都知事とつくろう、TOKYO自転車シティ」特設ウェブサイト

「Change.org」でも署名受付しています

Google Glass(グラス)を体験して分かった5つのこと

昨日、渋谷のとある場所でGoogle Glass(グラス)を触ってきました!

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写真はサングラスを装着したバージョン。

iPhoneを始めとするスマホもそうでしたが、新しいデバイスは実際に出ている情報と体験した時のギャップが大きいです。触る前は正直ピンと来てなかったのですが、装着してみると色んなことがわかりました。

今回は1時間強、地図や翻訳、カメラやビデオ電話など主要な機能を試してみて、スマホとの比較で感じたことを書いてみます。

■Googleグラスインプレッション

1.手が空くのがすごい!

スマホは持ち歩けるコンピュータだけど、手が塞がる。ランニングしている時、料理しているとき、ゴルフしているときなどなど。スマホのアプリを使っているけど、どうも不便に感じる瞬間を解決できそうです。

2.音声認識が自然に使える!

スマホの場合は、コンピュータに話しかけること自体に距離を感じていました。もともと「タッチでの文字入力デバイス」であることが潜在意識にあるからだと思います。

一方、グラスは頭についていて、自分のパートナーに話しかける感じで”Ok glass”と言うのが気持ちいいです。

3.自分の視点で撮影出来るのがいい!

スマホでビデオ電話をすると、お互いの顔を見て話すことになります。しかし、グラスではお互いの視点を共有して通話します。よって、道を歩いている友人の視点でナビゲーションしたり、ショッピングしている彼女の服を一緒に選んだりと、より一緒にいる感覚を持つことができます。「視点の共有」がキーワードになりそうな気がします。

4.AR翻訳がすごい!

これは、グラスならではだと思います。現Telepathy One井口さんのセカイカメラがサービス終了とありましたが、スマホから街を覗くのは、グラスを手にした今ではちょっと無理があったな、と感じるほどです。目の前に見えているものに情報が加わっていく感覚は、グラスならではだなと思います。

例えば、海外に行った時の看板を翻訳する。置き換わるのはすごいです。翻訳される瞬間をvineで撮ってみました。目の前のスペイン語が、みるみる英語に置き換わる。これはグラスならではの感覚でした。

5.めんどくさくないのがすごい!

新しい技術が出た時、もう一歩突き抜けられないのは「めんどくささ」が大きな要因だと思ってます。今回は、両手が空くことで「スマホで流行りそうと思ったけど、何らかのめんどくささがあって流行りきれなかったもの」に注目したいと思います。

既に開発中のものもありますが、ゴルフのナビや、音声レシピ、街なかで使う翻訳関連サービス、ランニングやサイクリングのサポートetc… 僕なら、釣りに使うSonar(魚群探知機)がグラスで見えたら最高です。視点を動かさないで行いたいものに使うのがいいですね。

■ビジネスとしての可能性

facebookやtwitterを含むスマホのメディアは、「ヒマな時間」を取り込むことで、広告でのマネタイズ中心になってくると思います。ただ、グラスは現状だとずっとモニターを見ているのは現実的ではありません。そのため、「必要なときに使う」ツールになることが予想されます。すると、これまでの広告ビジネスはなかなか難しいかな、と思ったり。一方、街なかでの飲食店情報や、移動に関する情報はビジネスになりそうな気がします。また、前の人が着ている服をそのまま探して買える、とか。

より、ダイレクトな行動に関するものがビジネスになっていくのではないでしょうか。

■僕がやってみたいこと

せっかくなので、写真で一言ボケて(bokete)で面白いことできないかな、と考えてみました。例えばGoogleグラスをかけながらお題の写真を見ると、写真の下に今ヒットしているボケが見える、というもの。ギャラリーを借りて展示してみたらメディアアートとしていいな、と思います。同じことは既存のARの技術でできるんだけど、デバイスがGlassになることで体験が変わる、ということを実現させてみたい。

スクリーンショット_2014-01-12_19_51_28Google Glass Channelというブログで情報発信していくみたいですので、こちらもウォッチを^^

P.S.

サングラスを外すとこんな感じになります。いまのところ違和感あるもののの、ランニングや釣りの最中にしている分には、ああ、そういうガジェットなのね、という理解を得られそうなビジュアルだと思います。

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自分の能力を拡張させてくれるような、人間に寄り添ってくれるコンピュータと言えそうです。スマホは対面だけど、グラスはウェアラブル、ってことですね。