スマホアプリを開発する時って、つい自分中心の視点になってしまいます。最初はユーザー=自分とその友達くらいなのでよいのですが、ユーザーが増えてくると、自分のセンスのみで扱えなくなってきます。
当然、多様な意見が寄せられるようになるし、レビューや問い合わせの要望は千差万別で、全てを受けることはできません。さらに、実際はその100倍くらいの要望が眠っていると考えるのが自然です。
最初は直感で設計していくことが多いけど、100万インストールを越えたあたりから、「アップデートが改悪になるんじゃないか」という恐怖との戦いになります。
その時に、直感に加えてデータというものが役に立ちます。
例えば、ボケてのアプリにおける2013年1月のデータを見てみましょう。(Appvisorより)
■iOSでの端末シェア
iPhone5 33.3%
iPhone4S 43.4%
iPhone4 14.1%
iPod touch4G 4.4%
iPod touch5G 2.5%
→画面サイズが大きく変わるのは、iPhone5から。すなわち、65%のユーザーはiPhone4サイズの画面で利用している。よって、縦幅の設計は非常に大事。逆に、iPhone5は3ヶ月で3割強のシェアを獲得しているので、今後さらに伸びてくるはず。iPhone5Sの気配もどこかに感じながら。
例えば、自分がiPhone5を使っていると、それに最適化したUIを創りがちになります。縦長の画面を活かして、縦スクロールを存分に活用したクールなUI。でも、実際の利用データを見ていると、iPhone4S, 4以前のユーザーが50%以上を占めているのが現状。
一見、自分にとって最高の体験を求めようとすると退化させるように感じてしまうけど、そこを忘れるとユーザーが一気に離れてしまう。
■iOSごとのシェア
お次は、OSのシェア。
これ、一般のユーザーもアップデートしているの?という疑問がありますが、結構してます。ちゃんと使いこなしてるんですね。
iOS6:83.3%
iOS5:16.7%
→iOS6が80%を超えている。
iOS5とiOS6で変化したことといえば、地図アプリやYoutube、Appstoreなどが上げられますが、アプリの製作者として気にかけるのは、
・Facebookのネイティブ連携が可能になった
・Safariからの画像アップロードが可能になった
などの部分が中心になります。
よって、アクティブに使うユーザーほどiOS6の可能性が高いことを考えると、次バージョンからはFacebook連携は、ネイティブでよさそうだ、などがプロデューサーの思考回路となる訳です。
正直、100万インストールを越えたあたりから、すべてのユーザーを満足させることが難しくなってくるはずです。それが1,000万人や1億人になれば尚更。iOS6のAppleのマップアプリは誰もが認める酷さだったけど、例えばすごくクールで出来のいいクックパッドのアプリでさえ、前回のアップデートでは「改悪」と言われることもあるくらい。もちろん、最初は反発があっても、次第にユーザーが良さに気づいてくる場合もあると思うので、信念が大切、とも考えられます。
データと実際の一人ひとりからユーザーの環境を考えて、テストを楽しみながらプロダクトづくりをしていけるチームは強いな、と思います。
ああ、アプリでも便利にABテストできる手段が欲しい・・・(だからスマホWEBでテストしてからアプリで実装したりするんだけども)
データばかり見ていると、本来なんでそのサービスを運営しているか見失いがちですが、データはユーザーの声の大きさを表したものでもあります。ユーザーと直接会話できる回数は限られていますが、データで多くの方の声を聞くと、仕事にもやりがいが出てくると思います。
プロダクトはよいものの、データ分析やマーケティング、マネタイズなどを含めたGrowth Hackにおいて課題を抱えるデベロッパーの方、何件かはご相談をお受けすることができます。Contactよりご連絡いただけたら嬉しいです。