この3年間くらい、スマホでサービスを提供するにあたり、「シェアされるコンテンツとはなにか?」という課題に取り組んできた。ボタンをでっかくするなんていう技もあるけど、もっと本質的なコンテンツのつくり方、見せ方について。
※注:上記はよくあるでっかいシェアボタン。押せません。
僕の関わっている会社は資金調達しているわけではないし、そんなにお金がないので無料でプロモーション=シェアしてもらう必要があったからだが、いわゆるグロースハックの話をするときにもこのシェア(リファラル)の考えは欠かせない。
シェアには、コンテンツの尺、テキスト・画像・動画などのフォーマット、インセンティブの有無、サイトやアプリの導線、コンテンツに触れるストーリーなど複数の要素があるが、LINEの谷口Pが「シェアされるために必要なのは違和感、共感、満足感」と本に書いていて妙に納得してしまったので振り返ってみようと思う。
僕が関わったサービスからの学び
2011年に日本でのリワードメディアブームの走りとなったアプリを創った時には、ギフトカードに交換可能なポイントというインセンティブを付与することで、大量のシェアを発生させることができた。シェアすることで友達を誘える仕組みにより、twitterやfacebookにとどまらず、YoutubeやAppstoreまで大量のシェアが波及していった。これは、まあわかりやすいお金で人が動く事例。
また、友人がやっていた写真で一言ボケて(bokete)のアプリをプロデュースさせてもらったときは、いかにショートなコンテンツに破壊力をもたせるか、を意識して設計した。「写真で一言」は、パッと見て3秒で笑いを起こすことができる。笑いの感情が閾値を超えることで、自分の中では収まりきれず、友達に伝えざるをえなくなったのかもしれない。ここでは、twitter、facebookに加え、LINEが伸びてきたことがシェアを後押ししてくれたように思える。こちらは、違和感、共感、満足感が超短時間で起こる事例と言えそう。
2013年の後半になって、facebookを中心にシェアされるコンテンツボリュームに変化が現れたように感じた。これまで3秒で笑えるボケてや、面白画像などが単発でシェアされてきたのだが、1-3分くらいでみる読み物や、より感動を呼ぶストーリーがタイムラインに上がってくるようになった。もちろん、facebookの仕様の変更で、画像だけでなく、リンクのシェアが活きる時代になってきたのも要因だと思う。
というわけで、2014年に入ってからは新たにViRATESというニュースメディア・アプリをプロデュースしている。世界の面白ニュースや、提携パートナーの記事に加え、独自で制作する動画(第1弾公開中)や取材記事をこれから増やしていく予定だ。こちらはコンテンツボリュームが1-5分と、これまで手がけてきたサービスよりはちょっと長いので、なかなか作法に違いがあって面白い。記事に触れる瞬間から、シェアで出て行く瞬間までの流れのパターンが多く、分析しがいがありそう。
また、最近では「ご当地バカ百景」というアプリをLINEで広告プロデューサーをしている谷口さんや仲間たちと、個人活動として一緒に創らせて頂いた。
※谷口Pのブログより
後日、「ボケて」を運営しているオモロキ代表の鎌田武俊さんより連絡を頂き、「ゆーすけべーさんより、谷口という人は頭がおかしいので一度会った方が良いといわれたので、一度話でもしませんか」という事だった。
会って話をする中でふと、「個人活動でやってるバカ日本地図と、ご当地情報のサイトchakuwikiをアプリ化しようとして、一度サイバーエージェントの役員自らが審査するというアプリコンテストに出した事があるが、あっさり落ちた」という話をした。
すると、それは面白いから是非アプリ化するべきだと言われ、「ボケて」のアプリを開発したブレイブソフトの社長、菅澤英司さんと、プロデュースしたイセオサムさんを紹介してくれるという話になった。※オモロキさんはご紹介頂いたのみでアプリには直接関係していない。
谷口Pと話をする中で、シェアが起こるときのユーザーの気持ちについて、沢山の学びがあった。最近発売された彼の著作にもあったが、シェアされるために必要なのは「違和感、共感、満足感」らしい。例えば、タイトルやサムネイル画像における引っ掛かりで記事を読んでもらう。そして、内容に共感してもらう(もちろん面白いことが前提)。最後に、その記事に出会ったところから、タイトルとのギャップが無いこと(釣りじゃないこと)、面白さを含めて満足を得てもらうこと。この流れを高打率で生み出すことにプロフェッショナル性があるのではないだろうか。僕はこうとらえたのだが、人によって解釈が異なる部分があるかもしれない。
すごくいい本なので、シェアとコンテンツ、広告あたりに興味がある人はぜひ。
広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門
まとめ
バイラルメディアが流行っている、とよく言われるけど、この仕組みがシェアを起こしやすいのは、facebookでシェアされてきた記事を、次の人にバトンを渡すようにシェアされるからだと思う。シェアしてつないでいくという、雪だるまの最初の部分ができた状態で回ってくるから、カンタンに次にバトンを渡せる。ALSのアイスバケツチャレンジもこの仕組みに近いのかもしれない。ただ、これがボケてとかの極端にショートなコンテンツだと意外にキツい。シェアの連鎖は起こりにくいから、サイトやアプリから、まだだれもシェアしてないボケを自らの判断でシェアすることになるからだ。facebookにシェアしていいねがつかなかったら、自分の笑いのセンスを疑われてしまうし。
というわけで、シェアって人にボールを渡すことだから、自分でシェアしたい気持ちと、他人のシェアされたい気持ちの間をつなげるとキレイに回るのかな、と思う。この「シェアされたい」という要望は企業からもよく頂くのだが、これからネイティブ広告を制作していくことが増えると思うので、boketeやViRATESで一緒にシェアされるコンテンツ・広告づくりをしたい方、コチラよりお声がけくださいませ。
違和感、共感、満足感とあるが、僕の記事は最後に満足感を与えることができたのだろうか。
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