僕らの経営する株式会社ハロの今後の計画を考えるため、
磯崎さん(@isologue)の「起業のファイナンス」セミナーに行ってきました。
参考までに、現状、ハロは資本金850万円、経営陣で株式を100%保持しています。
キャッシュフローの安定化のために、一部借入れは行っており、毎月返済している状況、変則で4期目となる今期は黒字の見通しがついています。事業内容はソーシャルアドのプラットフォーム運営、ソーシャルメディアマーケティング支援。
現在、資金を調達してドライブをかけるべきか、このままいって独自のスタンスを取るか、方向性を模索中です。
■本セミナーの問題意識とサマリー
・日本の起業資金環境は決して悪くはない
livedoor事件後に悪化、という話もあるが、決してそうではない。
ビジネスプランによる。
・「最初の間違い」ほど後で修正が困難
特にファイナンス面。
上場前になると、教えてくれる監査法人とかはある。でも、肝心の起業当時にアドバイスをくれる人は少ない。
・「アメリカのやり方」そのままでいいか?
事例の参照はよいが、鵜呑みにしてはいけない。日本の、そして自分のおかれた環境を考えたファイナンスが必要。
■投資の現状
<日本>
2006/4−2007/3 2790億円・2774件
↓
2009/4−2010/3 875億円・991件
1000億円/年を割る状況
<US>
は2008のリーマンショック以降、復活。
2兆円/年はある。
■日本におけるファイナンスのポイント
・重要なのはファイナンスされている全体量ではない。
・自分の事業には、いくら資金調達が必要かが問題
100万円?〜1000億円?
→1000万円〜1億円なら、全体の供給量なんて関係ない。自分の事業がイケているかどうか。
■ベンチャーファイナンスの歴史
90年代後半に証券ビッグバン(USは1975年)
→新規上場のハードル低下(それまでは、アーリーステージの投資は事実上存在しなかった)
ベンチャー企業の不祥事もあった。
まだ、自由化後の経験は10年しかない。
■生態系が重要
日本の生態系は確実に厚みを増している。
・上場、バイアウト経験者。
・ベンチャー企業勤務経験者
・支援する投資家、専門家
・志望者
これらが連鎖反応あり、2degreesくらいの知り合いでつながっている。
300万件の成功例は不要。10件でいい。
■負債(デット)と資本(エクイティ)
リスクのあることは、エクイティで調達
銀行借入ではリスクは負えない(逆に、リスクが少ない事業ならデットでもよい)
USではstartupは基本的にエクイティ(ただしConvertible noteなどは利用される)
10年前までは、銀行借入が常識。それ以降は、株式で返さなくて良いお金で調達する手段が現れた。
■投資家は儲かりそうな」案件に資金を出す
・「投資家が」儲かりそうな案件
基本的には、会社が大成功すればみんなハッピー。しかし、ホームランだけではなく、一塁打もある。
→バイアウトのケースなど
・あなたの事業は、「(投資家が)儲かるのか?」
将来、どのくらいの利益が出る?
企業価値=時価総額はどのくらいを目指す?
→1億円調達して、何%を保持する?を考えること。
・それを説明できるか?
VCが理解できないのは、説明力不足では?
社長が説明するのでもいいし、「いいCFO」がいるとGood.
→投資家がわかる言葉で価値を説明しよう。
■投資家はあなたを何で判断するか?
・決まった見分け方はない
・合理的に儲かりそうな可能性があるのは、前提中の前提。
→あなたがそれを実現できるかは別。
・投資家が何を面白いと思うかは「人それぞれ」 (銀行の人はある程度パターン化できる。返済計画など)
・成功させる方法はあるかも。
→シリコンバレーのベンチャーは再現性がある
・ベンチャービジネスは和製英語。ベンチャーするのは投資家の方だ。
■ベンチャーと「失敗」
・ベンチャーは100%失敗する。 byNTVP村口さん
事業計画通りいったベンチャーは見たことない。
それが悪いわけではなく、flexibilityが大事。Pivotをうまくやる。
・失敗を防ぐ方法はない
・失敗をしたときに「とんでもないこと」にならない方法はある
・借入や、その個人保証をしない
→借入している場合は、投資した分をその返済に使われるのでは、と投資家は考える場合がある。
・株式の買取保証をしない(おおっぴらにはやらないと言っていても、投資契約についている場合がある)
・個人破産をするのはNG
・知識をしっかり入れる
・信用が大事。★失敗してもコミュニティでの信用が残る。(信用を失うような失敗の仕方はしないこと。約束を果たせないこと)
これまでは、デット中心だったため、「失敗=誰かに迷惑をかける」だったため、約束を果たせないことが多かった。
エクイティの場合は、成功したら分配、失敗してもリトライ、となる。
まあ、成功すれば関係ないのですが。
日米比較をしてみます。
■米国ベンチャーの公開前資金調達額
Google 1,000百万ドル。
Linkedin 129百万ドル。
Groupon 1,376百万ドル。
Zynga 974百万ドル。 =日本全体の年間の資金調達額。
■日本ベンチャーの公開前資金調達額
楽天 4.45億円 →時価総額1兆円
DeNA 30億円 →時価総額6000億円
mixi 9,840万円 →460億円
GREE 4.8億円 →時価総額5000億円
→巨額の調達ができないのもあって、早期に利益を出すモデルになっている場合が多い。
「DeNAは自分で稼いだお金をせっせと貯めて事業を作った。GREEも同様。
一方米Zyngaはお金を稼がずにエクイティ調達で事業を作っている。
アメリカは『利益を出すよりも先にやることがあるだろう』という考え方だが、日本は堅実に少ない投資で稼ぐ」
比較してみると、日本には非常においしい案件が転がっている。
■事業計画と事業価値、資本政策の関係
・財務諸表 PL、CS、BS
・資本政策表をつくる
1年後:VCに33%渡して、1億円を調達
2年後:さらに時価総額を上げて調達。
3年後:上場
最終的な持分を検討すること。
・創業者の持ち株比率
ケースバイケース。
■単純なシリコンバレー信奉は危ない
・USとは資本市場の厚みが違う。
・USでは創業者は10%ほどしか持っていない。
創業者でないとできない事業か、そうでないか?
Googleを始めとするdual classの例。創業者が事実上全権を握っている。
→日本の場合は、USと比較して、高めの比率を持たないと、という面も。
■日本の状況に即した資本政策
・カネさえあれば成長できるか?
サーバーなど、投資は限られる。つまり、お金のかかるのは人やプロモーション。
雇用の流動性が低い、解雇規制がある。
→日本でそんなに急速に「人」が集まるのか?
・ソーシャルグラフや信用の形成が大事。
■参考に、各社の社長の持ち株比率
楽天:クリムゾン、三木谷夫妻 61.89→44.75%
DeNA:南場さん 18.72→14.35%(安定株主入れて30%ちょい)
mixi:笠原さん 62.75→57.88%
GREE:田中さん 62.40→49.30%
ある程度持っていた方が、議決権を持って、経営に集中できるのでは。
(対して、社長の持ち株比率が1%を切っている会社もあるから、マストではないが)
続きはこの本で(笑)
日本実業出版社
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A:「ありえないっすよ!」と言えるように。
飲んでも、成功すれば問題ない。実際に行使されたケースはあまり聞かない。
※パネルディスカッションにて
■巨額の資金調達 を実施するためには
数千万円〜数億円のファイナンスを意識するキッカケは?
ノボットの事例:
「Smartphoneは絶対伸びる」と前のめりに。伸びる市場でやることが大事。
毎週サムライインキュベートとのMTGを2年半続ける。広告周りは榊原さんの強みでもあった。
CFOが最初からいたのが強かった。(お金はかかるが、当初からCFOを入れた所がポイントでもあった)
クララオンライン:
スギ薬局の会長など、個人ベースで資金を調達してきた。最初は18歳で銀行からは借りれず。21歳から銀行借入れを実施。
2006年に方針を転換して、拡大する路線へ。インフラをやるという、重たい事業でもあるため。
コミュニティファクトリー:
自分の強みがないと市場価値がない。だから、強みであるSNSを深堀りしていったら、誰にも負けなくなり、好きになるスパイラルになった。そこからソーシャルどっぷりに。時代の潮目に合っていて、ちょっとだけ先であることが大事。
今ならSmartphoneだけど、巨額の調達か、というと今ではないかも。
自分の好きな分野で、やりたい事業について、投資家がわかっているとは限らない。だから、そのタイミングがマッチした時が大事。
mixi:
mixiアプリをリリースするときも、そのタイミングではVCの方は理解していなかった。だから、自分たちでリスクを取り、mixiファンドを作った。
リードVCをどう選ぶかはベンチャーにとって非常に大事。
例えば、コミュニティファクトリーへmixiが入れるときは、買取請求権は入れていない。しかし、他VCは買取請求権を求めてきたケースがあった。そこで、リードVCをであるmixiファンドがコントロールした。
PLだけでなく、ユーザー数や、ソーシャルの体験をどうリッチにしたかもKPIとして見ている。
(これは事業を理解できる方がリードVCであることならではと思う)
サムライインキュベート:
契約書は結ばない。「投資契約書を見た瞬間に、テンションが下がるケースがある」→メールで!!!
それだけ、Startupの気持ちを楽にしてあげたい。気持よくスタートしてもらう。
毎週会う。
■資金調達その後
事業転換(Pivot)を考えたタイミングはあるか?事業計画とのギャップに対してどう考えているか?
クララオンライン:
自社の提供するサービスと、市場価格の下落スピードに違いがあった。株主と話し合った結果、思い入れのある事業を切り離すことに。
mixi:
当初、Findjobで上場を考えていた。(証券会社も別の所で計画)mixiは、「出会い系」と言われていたので、上場はできないと考えていた。
しかし、別の証券会社にいた小泉さんが、ユーザー30万人、利益ゼロで200億円で上場できるのでは、という計画を立てた。(結果的には1000億円で上場)
mixi的には、マネタイズを遅らせたいとは思っていた。SNSがコミュニケーションのプラットフォームになり得るという想いがあった。(今のFacebookの状況と似ている)
IPOが近づくと、ストックオプションを付与したくなる。が、「ボーナスとして」付与するのではなく「株主」として付与すべき。行使するのに2-5年かかるので、それまでやめない社員もおり、会社のステージが変わるのに不要な人材となり得ることがある。
CFOを入れるタイミング。CEO、CFO、CTOはパートナーであるべき。3者の描く絵のサイズが揃うことが大事。CEOの絵が大きいのに、CFOの絵が小さいとマッチしない。
※証券会社の方はCFOになりたい方も多いですよ。
コミュニティファクトリー:
2011年初には、Smartphone半分、ガラケー半分、という計画を立てたが、3月には、全部Smartphoneと転換。
3カ年の事業計画は、決意表明的なものでもある。なるべくこまめに、ステークホルダーとコミュニケーションをとり、舵を切ることが大事。
やっているメンバーが、自分の事業を「やめます」と言い出すのは難しい。だから、経営陣で撤退基準を決めておいたり。
Q:CFOの探し方は?
A:こうしたイベントでゲットするのがよし!5年目くらいまでの方にとっては夢のプランになり得る。ノボットの場合もそう。
■サムライ榊原さんの考える資金調達のポイント
・イベントを主催したり、目立つことが大事
・月に2回プレスリリースを打つ
→市場が盛り上がっている感がでる。日経に載ることなども大事。
■イケてるStartupになるために
サムライ榊原さん:
No Action, No Change! 手前の利益ではなく、ドラえもんや、マイノリティリポートのようなものを目指せること。
実はベンチマークはY combinatorではなく、渋沢栄一。しかし、彼はノーベル平和賞を取っていない。だから、とりたい。
政治のプラットフォームや、クリーンテックとか。
儲かるか儲からないか、ではなく。
磯崎さん:
起業家の人は、自分はイケてる、とみんな思っている。
投資家からすると、コイツに投資するとリターンがあるな、と考えるのは前提。それを、ファイナンスの言葉で投資家に説明できることを「イケてる」と評価する。
とにかく人を引き込むのが良い。
■参考
@kyoneshigeさんがトゥギャってくれてるのでコチラもぜひ!
※認識違いなどあれば@ossamまでお願いいたします!
つまり、大きな絵を描いて、アツくなれ!ということで。
アイデアと、実行力と、仲間があれば、お金は集まる。
自分には、まだそれが足りない、というところも感じました。
機が熟すタイミングを見極め、僕もエンジンかけていきます。
※僕のブロードキャスト癖は、ズームインでDや記者の端くれをやっていたことに起因しています。
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