2012年は、社会人になって初めて目標というものを公開せず、過ごした1年でした。原稿は書いたのですが、なんか公開する気になれなくて、1年間草稿箱でお蔵入り状態w
どんなことを書いていたかというと、下記です。
・実現したいこと :多様で楽しい働き方を許容する社会の実現 = Playful Workerを増やすこと
・2012年の位置づけ:29歳は自分というプロダクトを磨く年。
・活動予定 :自力をつける最後の下積み。プロデュース実績の確立と、メディアへの露出
今読んでみると、なんだかやることが定まっていなかったから、公開しなかったのかなと。一方で、目の前のことを気持ちの赴くままに実行したことで、その瞬間瞬間を大切に過ごせた一年になりました。表向きはすごく結果が出ているように見えて、裏側はすごく悩んでいた年でもありました。
この目標は半分そのとおりになって、半分そうじゃない目標に変わったんだけど、年初になんて想定しなかったような「事件」が途中で起こりすぎて、中途ハンパなつまらないことを年初に目標としなくてよかったと、結果オーライです。
2012年の振り返り
社会人になってからの2005年から、毎年ブログで1年の振り返りを行って来ました。大体大晦日に一人で書いているのですが、今年は、尊敬する高校の先輩と、尊敬する起業家と「振り返り会 @YLOG」というものをさせていただいたので、そこで起こった「一人ではなく、友人と共に1年を考える」という経験をさせていただきました。自分の1年をほどよい距離の方にストーリーとして話すことで、愛おしく振り返ることができました。
一言で言うと、2012年は、メディア運営に集中した年でした。
1-3月はiPhone / androidアプリ「アドラッテ」の立ち上げと売上バトル。4.5月は売上伸びるも、韓国娘がハロを脱退。6-8月は新事業立ち上げ準備とオペレーション安定化のための採用、100万インストール突破。メンバーも5人から12人に一気に増えました。そして9月、「アドラッテ」の事業譲渡。10-12月はアプリ版「ボケて」の立ち上げ、こちらも間もなく100万インストール突破予定。
※写真はハロのメンバーと社員旅行にて。
<2012スケジュール>
仕事と、その他の活動を組み合わせて年表にするとこんなかんじです。振り返り会でもアドバイスをいただいたのですが、しんどいときほど強制的に旅行などのリラックスできるイベントを入れることで、物事が上手く進んでいくようです。
1月 もやもやっとした2012年の始まり。会社は赤字スタート。アドネットワーク事業を2つクローズ。
2月 アドラッテ売上急増、収益化【韓国出張】【ハワイで友人の結婚式】
3月 最高の売上で終える【陸前高田で英語教室のボランティア活動 part 1】
4月 ジョンヨン、ヨンジュがハロを去る【江戸川大学で講義】【神津島へ旅行】
5月 アドラッテ定着化【韓国出張】
6月 新アプリプロジェクトの概要固まる【上海内定者旅行】【NHKクローズアップ現代出演】【慶応義塾大学で講義】【陸前高田 part 2】
7月 メンバーガンガン増える。マネジメントしきれず【式根島プチ社員旅行】【フジロック4日間フル参戦】
8月 オフィスを移転、増床。
9月 パートナー企業であるアップディスコとの交渉に1カ月を費やす【韓国出張】【石垣島へ旅行】
10月 アドラッテ事業移管、10/10ボケてiPhone版リリース アドラッテの1年間の事業展開ストーリー
11月 新事業仕込み【陸前高田 part 3】 陸前高田「Komo’s 英語音読会」の様子
12月 ボケてandroid版リリース【グアム社員旅行】
今年の「事件」から学んだこと
・事業の選択と集中
2012年は1月の時点で、アドネットワーク事業2つをクローズ、3月にアドラッテ以外の事業をほぼすべてクローズしました。会社としてやることが明確になり、一つの事業に経営陣3人を含む全員のリソースを集中させたことで、掛け算方式に事業を成長させることができました。チームとしての一体感もでて、非常に楽しく仕事をすることができました。
・経営をするということ
個人的には、事業は上手くいきましたが、経営者としての自分はイマイチだな、という反省を残した1年になりました。9月の末に急遽決まったアドラッテの事業譲渡の際、韓国とのパートナー事業の契約をGREEに付け替えるかたちで引継ぎ、コンサルティングを行ったのですが、そこで事業一点集中の危険性と、メンバーとの意思疎通の難しさを感じました。当然メイン事業を譲渡するわけですから、メンバーたちの心配はありますよね。自分はそうでなかったかといえば嘘になりますし、雨の中一人で深夜歩いて帰った日もありました。しかし、大きく構えること、そして一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取ることが大事だと感じた「事件」でした。3カ月間、若干の混乱もありましたが、新体制にしてまた新たに事業をスタートできそうです。
・パートナーシップのあり方
振り返り会で先輩が気付かせてくれたことなのですが、事業のパートナーシップには、タイミングが大事。アドラッテは、韓国のアップディスコ社と、ハロの日本におけるパートナーシップでメディア運営を進めていました。今回の場合は、メディアの立ち上げには僕らの力が必要で、サービスが大きくなって、資本力が必要になってきたフェーズでは、お互い求めるものが変わってくるものである、と。よって、100万インストールを超えて、競合が数十社参入してきたタイミングではGREEの資本力が必要であるという解釈。事業譲渡決定から3カ月経って、妙に納得した出来事でした。
また、「ボケて」のアプリ化は、日テレ時代の同期であるかまだんごと、かれこれ3年くらい一緒に仕事をしているブレイブソフトの菅澤さんと、同年代3人でスタートしたプロジェクトでした。ここは割と長くお互いを知っていて、仕事もしたことがあったのでお互いの強みが活かせるに違いない、という妙な安心感がありました。もちろん、2013年はさらなる理想のパートナーシップを構築していきます。
二つとも、ミリオンヒット。パートナーに恵まれた事業となりました。
・メディアへの露出
2012年は、割とメディアに取り上げていただいた年になりました。これまでとの違いは二つで、一つはサービスがヒットしたこと。「アドラッテ」「ボケて」ともに、僕が前年までにやっていた事業とはインパクトが10倍くらい違いました。まず、それは最低限。中身のないものをいくら広報しても、表向きだけだな、とこれまでの自分を反省しました。もう一つは、PRの方針を「面白いことをやる!」というスタンスに切り替えたこと。やっている側も楽しむことで、ユーザーや業界を盛り上げようと、サービスのリリースやイベントの実施がお祭りのようになりました。アーティストの新曲リリースと、ライブみたいなものです。
ネタがつまらなければ、どんなPRをしてもダメ。面白いことをやっていれば、自然と注目は集まる。でも、事業によっては目立てばいいと言うものでもない、というのが実感です。(パクられたりとかねw)
その中で、NHK「クローズアップ現代」で取材していただき、僕が好きなTEDのダニエル・ピンクのプレゼンの話を紹介させて頂いたことが、一番印象に残りました。これも、人の縁のおかげです。
クローズアップ現代の出演動画(NHK) サイト下部の8分41秒から出演してます。
・家庭の時間
今年は午前中はほぼ在宅で仕事をすることにしたため、嫁と一緒にいる時間が格段に増えました。おかげで、家族のパートナーシップは強まったと思います。自分以外の人間とペースを合わせたことがこれまでなかった僕の人生にとって、欠かせない時期だったのではと思います。 また、毎日いっしょにいてくれた猫のマカロンとシフォンにも感謝しています。
Planned Happenstanceという考え方
スタンフォード大学のジョン・クランボルツさんが提唱する、プランド・ハップンスタンス(注)という人生の考え方があります。
目標を定めてそこに一直線に向かうのではなく、日々を一生懸命過ごしながら、予期しない偶然の出来事をチャンスに結びつけるスタイル。すると、いろんな事がうまく行ったり、想定外だった「事件」でさえ、楽しめるようになりました。自分が描くストーリー通りになんてならないのだから、身の回りに起こるいろんな出来事をうまく捉えて、対応していく、という「キャリア・アンカー理論」とは逆の考え方です。
この世界の変数を考えた時に、自分はコントロールできるかも知れないけど、家族や恋人、会社のメンバー、取引先、もしくはソーシャルメディア上の人など、アンコントローラブルな要素が多すぎます。一時期、目標を定めてそれをブレイクダウンして、一つひとつ実現させる的な考えも流行ったし、僕もそれで毎年目標を公開していました。でも、だんだんと達成できない自分が嫌になってきたり、そもそもそれが自分以外の人のためになってるんだっけ?と考えたりした面があります。
※注 Planned Happenstanceとは (ライフネット生命岩瀬さん「ハーバード留学記」より)
ところで、ビジョンが思い付かない人もいるかと思うのですが、そういう人に福音になる考え方があります。従来は自分の天職を探すのがキャリアの理論の主流で、どこに錨を降ろすかを探す「キャリア・アンカー理論」が一般的な考え方でした。ところが、最近はプランドハプンスタンス(計画された偶然性理論)という考え方が出てきました。これはどういうことかというと、「キャリアは偶然の積み重ねで予期せぬ出来事でできる。だから、予期せぬ出来事をいかにチャンスに結び付けるかが大事。ゴールは生涯に渡って学習する、あるいは毎日をエンジョイすることで、キャリアの意志決定をすることではない。そして必要ならチャンスを作り出す行動をする」ということで、スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授が提唱しています。
僕は、2010年(28歳)までは「目標一直線最短コース型」の考え方をしていました。自分に高い目標を課し、それを一つひとつ達成していく。下積み時代、誰かを追いかける状況では非常に自分を伸ばせる方法だったと思います。でも、そこから何を目指すか、というフェーズになると、次第に苦しくなってきます。
きっかけは自分ではコントロールできない出来事がいくつか発生したこと。結婚したり、嫁が病気になったり、ネコを飼いはじめたり。自分ひとりじゃなくなった、ということです。実際やってみると、その方が、年末に目標が達成できたかどうかの答え合わせじゃなくて、「自分のストーリーを振り返る」という楽しみが増えるんです。
僕が好きな言葉に、Steve Jobsの “Connecting the dots”があります。
未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない。君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。自分の根性、運命、人生、カルマ…何でもいい。とにかく信じること。
これもまた、プランドハップンスタンスと近いものかな、と考えています。
目の前のことを精一杯やれば、必ず道は拓けるはず。
というわけで、2013年もPlayfulに活動していきたいと思います!
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