僕がアドラッテに恋をして 〜サービス開始から運営移管までの学び〜

 

本日こちらのリリースを出した通り、今月をもってスマホアプリ「アドラッテ」の運営を、ハロからアップディスコの100%子会社、アップディスコジャパンに移管します。

1年という短い期間でしたが、100万インストールというユーザー達、100社以上のスポンサーに支えられ、非常に楽しく運営することができました。

せっかくなので、1年を振り返ってみようと思います。

 

※アドラッテとは

広告を見て、クイズに答えてポイントを貯めるiPhone、androidアプリケーション。ポイントは、StarbucksやAmazon、iTunesのギフト券と交換することができます。

詳細はコチラ: http://adlatte.jp/

 

 

 

始まり

僕がアドラッテに最初に触れたのは2011年の9月。ブレイブソフトの菅澤さんiPhoneアプリで総合1位を4回取ってるまさかの孫さんと韓国に行く予定があり、せっかく韓国メンバーを採用したので、現地のスタートアップ達に会ってこよう、あわよくば仕事をしよう、と思ったのがキッカケでした。3泊4日で10社ほどとお会いしたのですが、思えば、初日に出会ったアップディスコと3日連続でミーティングをしていました。

ほぼほぼの展開方法と、Adtec Tokyoでのデビューをその場で固め、すぐにローカライズのプロジェクトはスタートしました。当時は、アプリの内容も完璧には理解していない部分がありましが、なんかイケそうだという勘と、韓国採用からのストーリーに突き動かされていました。1カ月、日韓のメンバー達と死にものぐるいですべてのローカライズを完了し、日本で立ち上げたのが10月の末。Adtec Tokyoで日本にデビューしました。

※当時の記事はコチラ:HALO流 #adtechTOKYO への出展結果と気をつけたこと

11月のマイナーアップデートを経て、12月から広告の販売をスタートしてからは、ユーザー数、売上ともにまさに事業計画通りの伸びを示しました。普通、事業計画通りに行かないものなので、正直自分にビビってましたw

■アドラッテの日本展開カレンダー
2011年10月 Adtech Tokyoにてデビュー
2011年11月 iOS版正式リリース
2011年12月 App Store無料総合1位を獲得、20万インストール突破
2012年2月 android版をリリース
2012年7月 NHKクローズアップ現代出演
2012年8月 iOS & android合計100万インストール突破
その間にハロメンバー、代理店、レップ、クライアントほか皆さんの努力と協力があって、自分達の会社では体験したことのないスピードでサービスが成長していきました。全ては盤石に見えましたが、そうでない部分もありました。

そして、この2012年の10月、アドラッテの運営を移管することになりました。

背景はいろいろあったんですが、

・もともとアップディスコに日本法人設立の意向があったこと

・市場も相次ぐ新規参入から成熟期に入り、事業がスタートアップから、スケールが必要なフェーズに進んだこと

・ハロとしても、新しい事業に取り組む必要があること

が主です。

この1年は、僕の人生で一番レボリューショナルな体験でした。 韓国の優秀でハングリーな起業家との出会いも、日本でのサービス立ち上げも、100万人というユーザーの獲得も、日本の自動車メーカー、お菓子メーカーなど一流どころが出稿してくれたことも、わずか1年でサービスを譲渡してしまうことも。。。

たった5人だったハロも、今では2倍以上のメンバー数になりました。

 

この1年で得た気づき

上手く行ったことも、失敗したことも沢山ありました。せっかくなので、スタートアップの方々の参考になればと思い、書いてみます。

・続けることで生まれる役割分担

これまで、ハロの経営陣は割と機能が重複していたり上手く分担が出来てなかったと思います。しかし、事業が急成長するにつれて、自然と自分の得意じゃない部分は人に任せるという動きが出て、結果的にチームとして機能しだしました。例えば、イセが事業を立ち上げ、中林がオペレーションを整え、矢野が販売する、など。チームとしては非常によい経験ができたと思います。 最初にCEOだ、COOだとつけるのもいいけど、丸4年やっていると、サッカーみたいに相手のポジションが分かるようになったりもします。これは、鳴かず飛ばずのときも続けてきてよかったと思えることです。

 

・事業のスピードと競合の参入

スマホの広告、かつその中のリワード広告という市場は、2012年一気に成長しました。当然、似たようなアプリが多数生まれることになり、大手も参入してきます。その時に、どう動くか。まずスタートアップは先行優位で市場を取ったら、資金を調達して一気に勝負に出るか、提携するか、売却するかetc… 経営者として、重要なジャッジが必要な局面が多数ありました。 いずれにしろ、サイバーエージェント、GREE、アドウェイズたちとガチで市場シェアを争う戦いができたことは、一つの自信になりました。が、そこからどうしていきたいか、を考えるところが甘かったな、とも思います。

それにしても、「まずはよい商品を代理販売して、自分達で創る」という方法は、起業前にどこかの本で読んだバリュークリックとサイバークリックの手法に似てるな、と思い出して震えました。

 

・採用

事業が急成長すると、当然人が欲しくなります。営業も足りないし、デザイン、オペレーション、カスタマーサポートも追いつかない状況。そんな中、何十人もの人に会って面接をしました。採用するときは、プロフェッショナルを。そして、会社の社風に合う人を。どんなに急いでいても、焦って採用してはいけません。ここは、いつ事業が成長してもよいように。予め欲しい人材像の軸を決めておくのがよいと思います。また、会社のブランディングというか、認知度を上げておくこともここで役に立つはずです。

 

・海外の企業と事業をするということ

韓国で出会ったスタートアップたちは、日本を重要な市場だと考えていました。特にアジアの起業家達にとっては、距離も、感覚も近い日本は攻略もしやすく、ビジネスとしても成り立ちやすい市場だと認識しているようです。 出会った幾つかの企業が日本進出の意向を持っており、その中で今回アップディスコと提携するというジャッジをしたのは、彼らのノリとスピード感、そしてどこか社風が似てそうだったところでした。他にももっと実力がありそうで、日本でも成功できそうな会社はありましたが、最終的には、人で決めたんだな、というのが振り返っての感想です。

ただ、事業を行なっていく中で、商習慣の違いや、考え方の違いも見えてきたところがあります。これはいい悪いではないですが、まず、彼らはグローバル志向が非常に強い。内需だけに頼れないので、当初から海外展開を具体的に考えています。また、例えば広告ビジネスでは支払いサイト制より前払いがポピュラーだったり、ユーザーへの接し方も違ったりと、多くの違いがあります。また、当然日本と韓国ではユーザーのスマホ利用スタイルや、通信環境も違うので、サーバーの具合など、感覚が伝わらない、という点もありました。

その部分もはじめから「相違がある」という認識があれば、よりスムーズに進められるはずです。

ただ、スピードを重視するあまり、契約面で詰めが甘かった点もありました。経験がない部分は、メンターなどに慎重にチェックを入れてもらったほうがよいと思います。後半は、高校の同期の弁護士にすごく助けられました。

 

・事業への想い

この事業は、2010年に新卒で入社した、ジョンヨン、ヨンジュありきで考えていました。 設立間もないベンチャーで、日本では優秀な新卒が採用できそうもない。そんな時、矢野が韓国行って採用しようぜ、と言い出したことにより、ノリでやってみました。会社としては、当然グローバル展開を考えていたので、まずは人から、とトライしたところ、100名以上の応募があり、しかもみんな優秀。日本の新卒ヤバイぜ、とも感じました。 そんな中、「HALOの機会になりたい」と入社してきたジョンヨンが、アドラッテという一つの機会を形にしてくれました。

当初はユーザーから「サーバーがつながらない」というクレームや、App Storeのレビューが全部アドラッテになって他デベロッパーさんに謝りにいったり、トラブルだらけでした。その後、立ち上げフェーズを経て、運用からスケールする段階に入ってからは、ユーザーと広告主に満足を与えることを中心に考えてきました。そんな中、サービスのローンチのフェーズを抜けて、僕らも引導を渡す時かな、と考えました。

(正直、もうちょっとアドラッテと一緒にいたかった、というのが本音ですが、外部環境の変化やパートナーとの方向性、市場の圧力などもあり、現在の着地に至っています)

今、二人はすでにハロにいないけど、この1年の事がひとつの自信になってくれたらと思います。

 

 

僕らはまた次の事業で大きくトライしていきます。

アドラッテを応援してくれたみなさま、本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いいたします。(運営はコンサルティングという形で支援、代理販売は継続していきます)

 

今年のアドテックも、お楽しみに!

これで出展します→ http://www.halo-web.com/archive/2012/20121023-2.html

 

 

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