日本の人口ピラミッドを見てビビるべしというエントリーを書いたら、
facebookを中心に多くの反響をいただいた。
コメントで、この本を進められたので、読んでみた。
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
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一言で言うと、
「経済を動かしているのは、景気の波ではなく、人口の波である」
つまり、
「生産年齢人口=現役世代の数の増減が経済を動かす」
これがすべて。
景気や、ライフスタイルの変化が話題にのぼるが、
それ以上に、人口構成の変化が起こっていることを認識せよと。
その前提として、下記のスキルが必要になる。
「事実の把握を正しくすること」
例えばデータは前年比などではなく、実数でみるべき。
人口増減もそうだし、四半期決算も同じく。
比較だと、考察はいかようにも操作できるから。
上記の、ファクトをベースにした考察をもとに、
よく言われる提言の7つの間違いをまとめてみた。
※青字は僕の補足です。
7つの間違い、もしくは言い訳
↓
1,「若者のクルマ離れがあるからクルマが売れない」
現在の年間の出生者数は110万人/年。
対して1973年は209万人/年。
そもそも若者が半減している。
※てか、お金持ってるおじいちゃんが欲しくなる車を作ったらどうでしょう?
2,「日本には、1400兆円の貯蓄があるから大丈夫」
日本では、遺産相続を受ける方の平均年齢が67歳。
貰っても使わない。
※結構リアルな年齢。でも、実際怖くて使えない人が多いんだろうな。
3,「外国人労働者を増やしたらいかが?」
日本在住の外国人は、230万人(うち在日韓国人、朝鮮人が60万人)
全体の2%にも満たないので、増やしても焼け石に水程度。
例えばシンガポールは30%が外国人なので、効果がある。
4,「生産性をもっと上げようよ」
現状やっている生産性アップの施策は、人件費削減。
結果、所得が減少し、内需の減衰を引き起こしている。
人件費を増やさないと、消費は増えず、悪循環に飲まれる。
5,「働く女性が増えると出生率が下がるのでは?」
就労率が高い地域は出生率も高い傾向。
育児のしやすさには、所得も影響する。
6,「中国にGDPで抜かされたからもうダメポ」
対中の貿易黒字により、日本は潤うのでプラスになる。
ただ、国際競争ではコストメリットで負けるため、別の分野で競争することが必要。
7,「失業率が上がってて、シューカツも厳しいっす!」
失業率は全体の数パーセントの数字の変動しか表さないので、
直接の指標として大きな意味を持たない。
例えば、今の1学年の人数は100万人とすると、マーケットのサイズが定義できる。
例えば、女子高生なら100万人×3学年×1/2=150万人いる、など。
(40年前は1学年200万人いた)
むしろ、団塊世代が退職し、労働力が減少しているのに、
皆が見せかけの「安定」を求めて「大企業志向」になるから就職出来ていないだけでは?
仕事なんていくらでもあるぜ?
これらは、きっと空気に飲まれている人たちの発言だ。
では、どうしたらよいのか?
1,生産年齢人口が減るペースを弱め、彼らの所得総額を維持、向上する
- 年功序列賃金を弱め、若者の処遇を改善する
- 子育て中の社員への手当、福利厚生を充実させる
- 所得移転。相続税を5-10%にし、生前贈与を促進する
- 賃金アップが、エコと同じく必要なものとして「志」の高い行為とする
2,外国人の前に、女性の就労と経営参画を当たり前に
- 団塊世代のうち、有償労働していたのは500万人分は、主婦の労働で補える
- 彼女たちの方が消費意欲が高く、外国人労働者と比べても、教育水準、就業経験が豊富な場合が多い。
- 子ども、主婦、定年退職者が日本人口の4割を占め、とくに専業主婦は1200万人いる
- 日本女性の就労率は45%。オランダは70%
3,労働者ではなく、外国人観光客、短期定住客を受け入れる
- 観光収入を得ることが大事
- 日本の国際観光収入は1兆円と少ない。
- 中国、イタリアが4兆円、アメリカが最大で11兆円をベンチマーク。
企業としての方向性
国際経済競争の中で、工業製品は、コスト競争になる。
中国に任せるものは任せ、
フランス、イタリア、スイスなどのように下記要素を持った高付加価値商品分野にシフトすべき。
- クオリティー
- デザイン
- ブランド力
人手をかけ、ブランドを上げることでマージンを増やす。
コストを削るだけではダメで、付加価値額を上げて生産性を上げることが必要になる。
日本の未来
これまで人口ボーナスを享受し、経済成長を遂げてきたが、これからは人口オーナスの時代。
中国でさえも、2030年代には人口はアッパーを迎えると言われている。
人口の波が避けようのない事象であるなら、
日本はそのなかでも最先端の事例として、高齢化するアジアに将来を示すべき。
また、そこにチャンスがあるとも言えます。
我々は、その責任を担っているはずなので、俄然興味が湧いてきました。
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