昨年末をもって、HALOではFollolin、GRAPEという2つのサービスを終了しました。
リリース:Follolin・GRAPEサービス終了のお知らせ
まだ多少の利益は出るのですが、会社の方向性を定めるために、何かを辞めることが有効だと判断しました。
せっかくなので、3年経った今から当時のジャッジ、展開を振り返りたいと思います。
ガラケーのコンテンツ提供型アドネットワークGRAPE終了について
GRAPEはHALO最初の自社サービスであり、僕自身、一番思い入れの強いサービスでした。当時、アイデアを考えていたころにパートナーであるレオンテクノロジーさんも似たような構想があり、共同でリリースするに至りました。運営期間はちょうど2年間でしたが、最初から最後まで、少ないながらも効果に満足してくださった広告主、そしてメディアがいてくれたことが収穫です。
また、リリース時に初めてcnetに掲載していただき、興奮した記憶があります。
当時の記事:http://japan.cnet.com/news/media/20403342/
■GRAPEのサービス概要
「モバイル広告が一辺倒で面白くない」という問題意識から発した「コンテンツタイアップのネットワーク化」のサービスでしたが、この発想は今韓国appdisco社と共同で提供しているiPhone・androidアプリの『アドラッテ』にそのまま活かされています。
逆に、反省点は下記3つです。
1. サービスのメリットが4つとぼやけていた
「解決すべき究極の課題」に到達できず、イマイチエッジの弱いビジネスモデルになってしまっていた。
2. 既存のサービスを「ちょっと良くした」ものだった
ある一定の満足度があるアドネットワーク、アフィリエイト市場に、「改善」を持ち込んでしまいました。そこまで労力をかけなくても、一定の満足を得られるサービスが既にある場合、「革命」がなければ風穴を開けることは困難でした。
3. 市場参入タイミングが遅かった
すでに出来上がっているモバイルの広告市場の後半に投入しました。2009年はiPhoneが発売された翌年でもあり、そこでガラケーに固執してしまったことが反省です。
共同でサービスを運営してくれたレオンテクノロジーさん、そして広告主、メディアのみなさま本当にありがとうございました。
Twitter特化型アドネットワークFollolin終了について
Follolinは、Twitterのフォロワーを獲得するための、成果報酬型のサービスです。フォローにインセンティブを付けないため、純粋に興味のあるフォロワーを獲得できるのがウリのサービスでした。
「次々と立ち上がるものの、マネタイズに苦戦するTwitter関連メディアに収益をもたらす」という課題に挑戦したサービスでした。
リリースは2010年の8月。最近QAなうをOKwaveに売却したアタカさん、今はEverevo(イベレボ)がブレイク中のネットスケットさんと共同でサービスを開始しました。
リリース当初は広告主のウケもよく、所謂ナショナルクライアントと言われるところからの発注も続きました。
また、2011年3月11日、東北大震災の日に日経産業新聞に初めて載る、という運の持ち主でした。おかげでニュース自体は流れてしまいましたが。。
一方で、Twitter本体によるPromoted accountの日本上陸の噂もあり、短期的にサービスを売却するか、突き抜けるかが必要なジャンルでした。
こちらも、1年半弱でサービス終了に至った経緯を振り返ってみます。
1. 市場規模を読み違えた
2010年、2011年当時のTwitterにかけるマーケティングコスト、市場規模は事業をスケールさせるに足るボリュームだったのか?これを、楽観的すぎる視点で見ていました。当時は、まずアカウントを作り、運営を開始するタイミング。「無料がウリ」だったソーシャルメディアに、広告費を投下するという発想が少なかった。また、Twitter自体の活用の仕方までコンサルする必要があるフェーズでもあり、市場が育ってくるかが不確定でした。
撤退には早いという意見もありましたが、Twitterのフォロワー獲得だけでは数十億円ほどの市場にしかならないであろう、という見通しもたってきたため、決断をしました。
2. 継続発注がくるモデルではなかった
Follolinのターゲットは、Twitterのアカウントを創ったばかりの企業、もしくはひと通りの手を尽くして、次の段階へのトライをする企業でした。結果、リピートでの発注割合は10%にも満たず、提案先が限られてくる事態が待っていました。 商品設計をニーズに合わせて進化させることができず、どん詰まりになってしまいました。
3. 一気にリソースを振り分けられなかった
振り返れば、「 フォロワー獲得といえばFollolin」のようなブランディングをし、一気に売却へと動くしかないと頭にあったものの、動けなかった。リソースが分散していました。事業の方向性、意義を含め、そこまでコミットできなかったのが一番の反省です。
共同でサービス運営したアタカさん、ネットスケットさん、広告主、代理店、メディアのみなさまありがとうございました。
まとめ
いずれにしろ、未熟でした。
当たり前ですが、下記の3つが揃わなければサービスの継続は難しいと肌で感じました。
・なんの課題を解決するのか、明確にすること。
・想いをもってリソースを投下し、やり続けること
・十分な市場規模があるところにタイミングよくサービスを投下すること
そして、パートナーと事業を進めるときはビジョンを共有できるかどうか、そして同じ温度感で進み続けられるかどうか。
会社が提供するサービスは、時代に合わせて変わっていくものだと考えています。
その中で残るのは、開発、運営のノウハウ、取引先とのアカウント沢山あります。そのサービスを失敗と定義するか、成功と定義するか、それは辞めるときにわかることです。サービス自体は終了しても、その中で会社に蓄積されたものが財産となっています。
次のサービスを出すときに、財産を活かすこと。それができる組織は強いなと思います。
また、それまで付き合ってきたパートナー、広告主、メディア、そしてメンバーなど沢山の関係者と結果を共有し、それぞれの次のステップへの礎にすることも、事業提供者として必要なことだと感じました。この点を忘れずに事業を展開したいと思います。感謝です。
2012年は、これまで3年で約10個の事業から得た財産を用いて、『アドラッテ』というスマートフォンのソーシャルアド事業で結果を出していきたいと思います。
スマホ動画広告×ゲーミフィケーションの「アドラッテ」 by ikedahayato.com
幸い、韓国appdisco社との提携、ビジョンの共有、日本市場でのスタートダッシュの成功(App Store1位獲得、30万インストールの獲得)が上手くいき、ここまでは好調です。ここからどう舵を切っていくか、これまでの経験を生かして走って行きます。
僕はまだ圧倒的にこれをやり遂げた、という実績はありませんが、同じく事業を立ち上げ、運営している方に少しでも参考になれば!
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